掛け時計をゴス風にリメイクする
生活の必須アイテムである時計。目立つ場所に置く時計はできるだけ部屋の基調と合わせたいものですが、ピッタリのものが見つからない時、リメイクしてみるというのもひとつの手です。今回購入した時計を自分好みにカスタマイズしてみたので、その手順を以下にまとめてみました。
♪今はもう動かないその時計
以前使っていた壁掛け時計はこのようなものでした。もともとはガラス板の間にモンステラの葉っぱが挟まった、緑色を基調としたデザインでした。ギャルに憧れていた時代、レゲエやヒッピホップ風のアイテムで身の回りを固めていたのですが、その延長で買ったような記憶があります。ガンジャの葉っぱとモンステラの葉っぱの違いも分かっていないくらいに馬鹿だったようです。そう考えてみたら、この時計は中学生の頃から10年近くも使っていたんですね。
趣味が変わってから写真のようなリメイクを施して以降、今まで気に入って使っていたのですが、最近電池を変えても時間が狂うようになり、ついに引退の時がやってきてしまいました。
新しい時計をネットで探したのですが、大好きなゴシック風の理想のデザインはなかなか見つかりません。なければ作るしかありません。ということで、中国版Amazonとも言えるAliexpressでこんな壁時計を購入してみました。
送料込みで30ドルほど、日本円にして3500円くらいでした。ゴテゴテ装飾が付いているにしては随分と安いです。
気に入ったデザインであれば多少お値段が張っても目を潰れますが、リメイク前提で買う時は、やはりあまりお高い物には手を出せません。もったいないという気持ちもさながら、高額の商品はやはりその分作りもキチンとしていて、分解しづらいことが多いからです。リメイクカスタムに取り組む際、分解できないと色々な作業のハードルが一気に上がります。そこそこお安くて粗悪で、素人でもバラしやすく失敗しても流せるくらいの商品が、リメイクには一番向いています。
分解作業
注文してから2週間ほどで商品が届きました。上下の装飾と振り子は自分で後付けする用に、バラバラに入っていました。絨毯の模様のせいで見づらくてすみません……。
本体基盤を塗装をするためにバラします。各所のネジを外すと、以下のように装飾枠、外枠、保護ガラス、基盤の4つに分解できました。時計の針はペンチで引っこ抜きました。勢いあまって針を折ってしまう危険性もあるので、剣抜きなど専用道具があれば安心です。めんどくさいので僕は力業でやりましたが、真似する際は自己責任でお願いします。
塗装作業
分解した各パーツを好きな色に塗っていきます。
外枠はタミヤカラーの黒のラッカースプレーで塗装しました。一度で綺麗に塗ろうとすると、液が表面に溜まったり横から垂れて見栄えが悪くなってしまうので、薄く2、3回に分けて塗ると美しく仕上がります。僕はめんどくさいので1回で全部塗りました。
スチームパンクがゴールドの世界なら、ゴシックはシルバーの世界です。金色だった秒針も銀色に塗装しましょう。
シルバー系の塗料は色々ありますが、染めQが出している「メッキ感覚」というラッカースプレーは、いかにもな金属感が出て個人的に超オススメです。多くの塗料がアルミホイルの裏面のような曇った銀しか出ないとすれば、この「メッキ感覚」の銀はアルミの表面のテラテラ感です。染めQは布を染められるラッカースプレーも出していたりして、実用性が高いメーカーさんですね。
ついでに、秒針の中央部に装飾も付けます。アクセサリー用に買っていたモチーフが余っていたので、チェーンを通す輪っかの部分をペンチで切り取り、木工ボンドで秒針の中央(写真の金色の〇部分)に貼りつけました。
机の奥底から発見した金属パーツは、文字盤の中央部分にはめ込むことにします。下の写真右側の100均で買ったモチーフを、中央部分をペンチで切り取り、シルバーに塗装して左側の状態にします。
上記の「メッキ感覚」でまとめて塗れたら良かったのですが、このモチーフも使おうと思い付いたのがすっかり後片付けをした後だったので、また段ボールを引っ張りだしてくるのも面倒くさく、「三菱ペイントマーカー」でチマチマと塗るハメになりました。「メッキ感覚」と比べると光沢は劣りますが、そもそもコレは本来紙を使用目的に想定した商品なので、当たり前ですが紙の上ではとても綺麗な発色をします。サインを書く時なんかには良さそうです。
文字盤をデザインする
何が何でも壁時計はローマ数字でなければガマンならないという性癖(?)があるので、文字盤を自作することにしました。このくらいの価格帯の安い時計であれば、文字盤は大抵紙を貼りつけただけのちゃちいモンです。写真のようにボンドか両面テープで接着してあるので、端をマイナスドライバーかピンセットで引っかければすぐに剥がすことができます。
文字盤の厚紙が剥がれました。中央部分が針を固定する金具の下に挟み込まれていたので、そこはカッターで丸くくりぬいて取り外しました。
Pnterestを検索してイメージを膨らませながら、PC上で文字盤をデザインしていきます。illustratorやPhotoshopが使えない情弱なので、使用ソフトはClipStudioです。無理にデジタルやアナログで描かなくても、文字盤の上に異素材でコラージュしたり、写真をプリントしたり、自由に時計の顔を作ってみましょう。
デザインし終わったら紙に印刷します。時計にピッタリ合うサイズで印刷したかったので、「ぴったり印刷くん」という無料のオンラインツールを使いました。でもあんまりぴったりじゃありませんでした。多分プリンター側の設定をミスしています。まァいいやの精神です。
組み立て作業
プリントした文字盤をボンドで貼りつけたら、時計を組み直します。あれだけシッカリ管理していたはずなのに、いざ組み立てようとするとネジが1本どこかに消え去っていました。なので分解後の部品管理は慎重に行ってください。ネジくらい1本や2本なくても安物の時計は動きますが(動きました)、これが針がなくなったりしていたら大変です。虚無の文字盤が完成します。
ということで装飾パーツもすべて取り付け、完成した時計がこちらです。
文字盤が変わっただけで雰囲気がガラリと変わって見えます。文字盤は時計の表情そのものですね。
目立つものだからこそ
壁時計は家にいる時は必ず目にするもの。毎日見るものくらい、好きな美しい造形であってほしい。そしてあわよくば、僕たちを急き立てる時間が少しでも優雅で好ましいなものになってくれたら。そういう意味で、時計を好きなデザインにリメイクするのはなかなか有意義であるような気もします。好みのデザインの時計が見つからない時は、是非リメイクカスタムという手を試してみてください。